手作りワインビネガー

元の品種の香りが残っていた

であれば、これは「アジロン」という単一品種のワインビネガーというこれまでに無いものになる可能性がある。
さらに、他の品種でも固有の香り、味わいをもったビネガーの製造が可能になるかもしれない。
思い出したのが、しばらく前に雑誌で見た、少量の酢製造装置の記事だった。

試作も受けてくれると書いてあった。

そこで、ワインの醸造中に発生する中間留分の澱をビネガーにしてもらえるよう

依頼した。先方でもビールからビネガーを造った経験を持っていたそうで、ワインは未経験だが試験製造してもらえることになった。かなり苦労したようだが、2ヶ月後に届いたワインビネガーは葡萄の品種の香りを留め、色鮮やかなものだった。

あえて、飲めるワインから作る

ならば、いろいろと試したくなる。好奇心も交えて、自分が所属するワイナリーの赤ワインの3品種をビネガーに変えたらどうなるかやってみた。ワインになってからは別であるが、葡萄としてはアジロンダックほどの特徴的な香りを有していないものだったが、違いは分かる。
正真正銘本物のワインから作るのであれば、いっそワインと同じく品種、原材料葡萄生産地、年号を示した製品にしようと決めた。世の中にワインビネガーは沢山出回っているが、大概は赤か白の違いだけで、あとは何も示されていない。おそらくは、醸造や、保存の際の事故などで、ワインとして製品化出来なかったものを消極的にビネガーとして製品にすることがその理由だと考えられる。

自分のヴィネガーは、あえて飲めるワインを、品種を強調して示しながら製品にするもので、類例はほとんどないだろうと思う。やってみる価値はある。

本格生産開始

こんな経緯で、ワインビネガー造りは始まった。製造装置3台を導入する。幸い、国からの新規事業への補助金も頂けることになり、スタートアップとしては上々の滑り出しだ。
気長で慎重で強い心が無ければ勤まらない

ビネガーの発酵過程は恐ろしく緩慢で、一見何も起こっていないように見える。

ワインならば、中から泡立ち、発酵状態が目で見えるため、ある意味安心出来る
ところがワインビネガーはそうはいかない。
3週間、4週間とたち、表面に薄いセルロースの膜が完成すれば、ようやくできあがりとなる。

醸造期間中に、でき掛かった膜が壊れればそれで終わり、また一からやり直しになる。それは、自らから蒸発した水分の滴りでも壊れてしまうほどか弱く繊細なものであり、細心の心遣いが必要である。決して短気を起こして揺すったり突いてみたりしていけない。ビネガー作りは自分の心を鍛える良い機会である。

甲州種でも作ってみる

 同時に自分で試作したのが、甲州ワインを自然発酵させてできた甲州種ワインビネガー。ふた夏を過ぎたビネガーは、甘い香りで、酸味も少し穏やかになり、なかなか行けそうである。バルサミコに習った作り方でさらに熟成を重ね、どんな味わいになるか楽しみにしている。

今年からこれも本格的に作り始めるが、息の長い仕事になりそうだ。 

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